スリランカの紅茶

スリランカの紅茶の歴史

スリランカ紅茶

スリランカはインドの南に位置する島国で、インドと同じく、かつてはイギリスの植民地だった。植民地時代、スリランカはセイロンと呼ばれ、今でもスリランカの紅茶はセイロンティーと呼ばれている。

もともとスリランカでは紅茶栽培よりもコーヒー栽培のほうが盛んだった。しかし、1860年代にはコーヒー葉の病気である「さび病」が蔓延し、コーヒー農園は次々と倒産していった。

1867年にスコットランド人のジェームス・テーラーがスリランカの中央に位置するキャンディ州で茶園を始め、試験的な茶栽培に乗り出した。彼は数年で本格的な茶栽培に成功し、1872年にはスリランカ初の製茶工場を建設した。その後、茶栽培は次第に広まっていき、かつてのコーヒー農園はほぼすべて茶農園に切り換わっていった。1890年には今や「リプトン」ブランドで有名なトーマス・リプトンがスリランカを訪れ、ウバ州の広大な茶農園を買い付け、独自の流通システムで紅茶をイギリスにより安く提供し始めた。その後、リプトンの紅茶は質がよく、手ごろであると評判になり、世界的にリプトンティー及びセイロンティーが有名になった。

 

ウバ

世界三大紅茶のひとつであるウバはスリランカの中央山脈の東側に位置するウバ州で標高900メートル以上の茶園で生産されるハイグロウンティーである。「ウバ・フレーバー」と呼ばれる独特の香りと渋味を持っていて、良質なものは花の香りとメントールを思わせるような爽快な香りが特徴である。水色は赤みを帯びたオレンジ色で、ティーカップに注ぐと縁に金色の輪、ゴールデンリングが現れることがある。

 

ディンブラ

ディンブラはスリランカの中央山脈の西側の標高1000メートル以上の茶園で生産されるハイグロウンティーである。雨季の雨量と1月から3月にかけての天候によって味が大きく変化する。ウバとは茶葉の品種が違い、フルーティーな香りと渋みが少ないことが特徴的。

 

ヌワラエリヤ

ヌワラエリヤは標高1800メートル以上の台地上の茶園で生産されるハイグロウンティーである。「セイロンティーのシャンパン」と称されることがあり、香り高く、クセは少ない。水色は明るいオレンジ色。

 

キャンディ

キャンディはスリランカ南部の古都、キャンディ周辺の標高600から1200メートルの茶園で生産されるミディアムグロウンティーである。キャンディはスリランカで茶栽培がはじめて行われた地でもあり、ジェームス・テーラーが交配で生み出した品種は今でも栽培されている。

 

ルフナ

ルフナはスリランカ南部の標高600メートル以下の低地で生産されるローグロウンティーである。ハイグロウンティーより茶葉が大きく、生産量もセイロンティーの約半分を占める。スモーキーな味と独特の苦味が特徴的でチャイに向いている。水色は濃い赤色である。

 

ハイグロウンティ

標高1200メートル以上の地で生産される紅茶。

ミディアムグロウンティ

標高600から1200メートルの地で生産される紅茶。

ローグロウンティ

標高600メートル以下の地で生産される紅茶。